【金継ぎ】割れた食器を救済せよ:その1

形あるものは必ず壊れる。仏教では「諸行無常」という、森羅万象をあらわしたありがたい言葉で説明されるが、我が家において森羅万象は「高い器ほど、よく割れる」となる。仏教というよりマーフィーの法則に近いが、いずれにしろ、犯人はおおむね嫁である。

以前「子供たちにもちゃんとした食器を」という、海原雄山みたいなコンセプトで、そこそこ高価な食器を買い揃えたことがある。しかし、これらは現在、いずれも変わり果てた姿で、食器棚の奥にコールドスリープされている。いつか直せる日がくると信じて。

残念ながら、割れた食器を修復し、かつ食器として再利用可能な接着剤というものは、知る限りこの世に存在しない。「漆(うるし)」を除いては

漆は樹液の一種で、漆塗りの塗料としての用途が有名だが、実は接着剤用途としての歴史も古く、なんと縄文土器にも利用されていたとか。漆の主成分は油脂で、空気に触れると硬化する性質をもつ。浸透性が強く、食器の断片を強固に結びつける。その漆を使って割れた食器を修繕する技法を、一般的に「金継ぎ」という。

食器のアクシデントで憔悴している身として、金継ぎは朗報だが、そう簡単にはいかない。その工程は複雑かつ長期間におよび、熟練の業が必要。そもそも漆が手に入らなければなにもはじまらない

あきらめかけていたとき、苦肉の策でヤフーでググってみたところ、なんと「金継セット」なるものが市販されていた。そう、実は金継ぎは陶芸の延長カテゴリであり、手工芸の1ジャンルとしてそこそこ確立していたのだ。

早速購入してみたところ、高え!完成までに必要なひととおりの資材が入っているとはいえ、なんと7,600円。ぶっちゃけ、食器セットをもう1セット買ったほうが得だ

と、いいたいところだが、割れた食器の中には、残念ながら二度と手に入らないものも含まれている。こればかりは、金額の問題ではない。覚悟を決めて飛び込むしかない。そう「金継ぎ沼」という、一度踏み入れたら二度と出られない境地に…。(そこまでじゃない)

余談だが、ニトリで購入した食器は、憎たらしいくらい丈夫で、一切割れる気配がない。余談だが。

2019-05-31 | Posted in 茶碗蒸しじゃないNo Comments » 
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