【142杯目】白チン茶碗蒸し

こっそり「白チンしょうゆ」と呼称しているメニューがある。傷口に塗ったら治りが早そうなネーミングだが、殺菌効果は期待できない。「卵黄の味噌漬け」のように、卵料理をしていると、どうしても白身が残るケースがある。その白身のみをレンチンして、醤油をかけただけのメニュー、それが「白チンしょうゆ」。べつに、毎月の家賃に困っているわけではない。捨てるのがもったいないのは確かだが、これはこれでうまいのだ。

卵において、主役といえるのは間違いなく「黄身」。これは法律で定められているので、認めざるを得ない。しかし、主演の影には常に名脇役がいる。白身はまさにバイプレイヤー。そもそも、あらゆる卵料理で「卵を使った効果」を発揮する、そのほとんどは白身部分。タンパク質の結着能は極めて高く、茶碗蒸しやだし巻きや形成できるのは白身のおかげ。旅客機の構造体に応用されている可能性すらあるその「こびりつきスキル」は、しばしば世の主婦をイライラさせるが、そんな「ヒール役」を難なくこなる演技幅もニクイところ。

ふだんは脇役の白身をメインのトッピングにしたのが、白チン茶碗蒸し。やや固めに蒸し上げた茶碗蒸しの表面に、ほぐした白身をながし込むだけ。正確には「チン」の工程はないのだが、敬意を込めて継承する。以前「メレンゲ茶碗蒸し」を作ったが、工程がやや違うだけで、材料も味も見た目もほぼ同じことに気づく。ピントもどこに合わせてよいのかわからない、なんともインスタ映えしない一品。

2019-03-22 | Posted in 茶碗蒸しNo Comments » 
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